現場での予期せぬトラブルと美咲の判断力

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女性警備技術士 美咲の挑戦(第6話)

 秋の夕暮れ。
 美咲はロボダンを伴い、商店街の歩行者天国イベントの現場に立っていた。
 今日は車両通行止め区間の入口で、買い物客や観光客を案内する役割だ。
 祭りほど人出は多くないが、夕方になると帰宅客と観光客の流れが交錯し、注意が必要になる。

 「こちら歩行者専用です。車両は進入できません」
 ロボダンの声が通りに響く。美咲は旗を振り、通行人の安全を確保していた。

 しかし、その時だった。
 遠くから一台の車が、制限速度を明らかに超えて突っ込んでくるのが見えた。
 「まずい…!」
 美咲は即座にロボダンを後退させ、音声を切り替えた。
 「車両接近! 周囲にご注意ください!」
 同時に、大きく旗を振り、歩行者に端へ避けるよう指示する。

 車は入口手前で急停車。窓から運転手が顔を出し、
 「通れると思ったんだよ!」と苛立った声を上げた。
 美咲は落ち着いた口調で説明する。
 「申し訳ありません、今日は商店街イベントのため全面通行止めです。こちらから迂回をお願いします」
 運転手は不満そうにしながらも、しぶしぶUターンして去っていった。

 周囲から「助かったよ」「素早い対応だったね」という声が上がる。
 大地が交代の時間で現れ、笑顔で言った。
 「やっぱり美咲さん、現場の空気読むのが早いですね」
 美咲は少し息を整えながら答えた。
 「ロボダンが警告を出してくれたおかげ。あれがなかったら、もっと危なかったかもしれない」

 夜、撤収作業を終えた美咲は、ロボダンの頭を軽く叩いた。
 「今日もありがとう、相棒」
 ロボダンのLEDの目が柔らかく光り、まるで「お疲れさま」と返しているように見えた。

 ――警備技術士は機械を動かすだけじゃない。
 人と機械が一緒に現場を守る、その中心に立てるのがこの仕事なのだ。
 美咲はその責任と誇りを、改めて胸に刻んだ。

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