――いま日本が直面している治安不安と、私たち一人ひとりができる対策 ――
日本は長い間、「世界で最も治安の良い国」と言われてきました。
しかし近年、暴行事件、強盗、詐欺、侵入盗、さらには日常生活の中での不審者事案など、
“治安に対する不安” は確実に増えています。
街の空気が変わった、夜道が怖くなった、マンションで不穏な動きがある──
これは多くの人が感じ始めている現実です。
では、日本の治安悪化はなぜ起きているのでしょうか。
そして、私たちは何をすべきなのでしょうか。
■ 1. 日本の治安悪化の本質
治安が悪化する背景には様々な要因がありますが、
最も大きなポイントは 「予防の仕組みが弱くなった」 ということです。
かつては地域の目が多く、
- 声かけ
- 見守り
- 隣人とのつながり
- 商店街・自治会のパトロール
こうした日常の“目”が働いていました。
しかし時代の変化により、
孤立化・高齢化・夜間人口の減少・SNS犯罪の増加など、
防犯力が低下する要素が重なり、
犯罪が入り込みやすい社会構造へと変わっています。
治安は勝手に悪くなるのではなく、
防犯力を維持する仕組みが弱まった結果として表れている のです。
■ 2. 「危険から身を守る力」を取り戻す
安心で豊かな社会をつくり直すためには、
私たち国民一人ひとりが “危険を避ける行動” を身につけることが重要です。
その中でもすぐに実践できるポイントを3つ紹介します。
◎ ① 距離を取る ―― 不審者対策の最重要ポイント
不安を感じた相手から 1.5〜2mの距離 を保つだけで、
多くのトラブルは未然に防ぐことができます。
距離とは「安全のバリア」。
声をかけられる、触れられる、急接近されるといった事態を大きく減らします。
これは子ども・女性・高齢者問わず、
誰でも今日からできる防犯スキルです。
◎ ② 光と視線を味方にする ―― 犯罪者が最も嫌うもの
防犯灯・玄関灯・廊下のライトなど、
“光” は犯罪抑止に極めて高い効果があります。
また「見られている」と思わせる行動も重要です。
- 帰宅時に周囲を確認する
- エレベーターの前に人がいれば少し待つ
- 見知らぬ人と距離を取る
こうした小さな行動が“防犯の空気”をつくります。
◎ ③ 情報を共有する ―― 地域を守る最大の力
事件やトラブルには必ず“前兆”があります。
- 不審者の出没
- 空き巣の手口
- 近隣マンションでの侵入未遂
- 特殊詐欺の電話
地域で共有される情報が増えるほど、
被害は急激に減ります。
警備大学校としても、
今後さらに 防犯情報の発信・共有の仕組み を強化していきます。
■ 3. 警備の現場から見える「本当の危険」
私は13年間、工事現場と街の警備に立ってきました。
そこで確信していることがあります。
危険は“突然”起きるのではなく、“予兆”が必ずある。
・歩き方
・目の動き
・不自然な停車
・周囲を伺う行為
・夜道の無灯火
・SNSでの犯行予告
私たち警備員は、この予兆を見逃しません。
だからこそ 一般の方にも、予兆に気づく力を身につけてほしい のです。
■ 4. もう一度、「安全で豊かで強い日本」をつくるために
治安は政治だけで変わるものではありません。
地域の力、個人の行動、そして防犯技術の向上──
これらが組み合わさることで強くなります。
いま私たちが取り戻すべきは、
- 人と人のつながり
- 声掛け文化
- 防犯の意識
- 互いに守り合う感覚
そして、危険を避ける力 です。
日本は必ず、もう一度強くなれる。
そのために、警備大学校は防犯教育と技術の普及に全力で取り組んでいきます。
■ まとめ
安全は偶然ではなく、日々の行動の積み重ねでつくられる。
今日からできる小さな一歩が、地域の未来を守ります。
そして、
「安全で豊かで強い日本」 を取り戻すための鍵は、
私たち一人ひとりの防犯力の向上です。
