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商店街の歩行者天国イベントの現場に立っていた
女性警備技術士 美咲の挑戦(第6話) 秋の夕暮れ。 美咲はロボダンを伴い、商店街の歩行者天国イベントの現場に立っていた。 今日は車両通行止め区間の入口で、買い物客や観光客を案内する役割だ。 祭りほど人出は多くないが、夕方になると帰宅客と観光客の流れが交錯し、注意が必要になる。 「こちら歩行者専用です。車両は進入できません」 ロボダンの声が通りに響く。美咲は旗を振り、通行人の安全を確保していた。 しかし、その時だった。 遠くから一台の車が、制限速度を明らかに超えて突っ込んでく... -
夏祭りデビュー
女性警備技術士 美咲の挑戦(第5話) 夏祭り当日。 夕暮れの空は朱色に染まり、会場の提灯が一斉に灯り始めていた。 人々の笑い声、屋台から漂う甘い香り――そんな賑わいの中、美咲はロボダンを横に立たせ、深呼吸をした。 これが、資格取得後、初めての実際の現場だ。 美咲の持ち場はメイン通りの入口。 ここでは歩行者と車両の動線を分け、混雑を防ぐ役割がある。 ロボダンが明るい声で案内を始めた。 「こちらは歩行者専用です。車両は右へお回りください!」 その横で美咲が旗を振り、来場者をスム... -
女性警備技術士 美咲の挑戦 第1話「新しい道への一歩」
本文 夏の朝、まだ日差しは柔らかいが、街はすでに慌ただしく動き始めていた。 美咲は制服の胸元を軽く整え、深呼吸をひとつ。今日から彼女は、新しい道を歩み始める。 30歳を過ぎた頃、美咲はふと、自分の仕事について考えた。 これまでの警備員としての日々は、交通誘導や施設警備が中心だった。仕事は嫌いではない。しかし、いつも同じ現場、同じ作業の繰り返しに、心のどこかで物足りなさを感じていた。 そんな時、警備大学校のサイトで「警備技術士」の文字を見つけた。 説明にはこう書かれている... -
資格試験
女性警備技術士 美咲の挑戦(第4話) 講習の最終日。 会場に入った瞬間、美咲の心拍は少し早まっていた。 今日は「警備技術士三級」の資格試験本番。 筆記試験と実技試験、その両方をクリアしなければ合格できない。 筆記試験は、警備業法、道路交通法、そしてロボダンの構造や操作方法に関する問題が並ぶ。 美咲は深呼吸をして、迷わずペンを走らせた。 講習で繰り返し学んだ知識が、自然と頭から引き出されていく。 ――大丈夫、やれる。 続く実技試験は屋外。 模擬現場は「イベント会場入口」で、来... -
模擬現場テスト
女性警備技術士 美咲の挑戦(第3話) 講習も終盤に差しかかった日。 美咲たちは、校舎裏の駐車スペースに集められた。 そこには、模擬現場として設置されたカラーコーン、誘導旗、そして一台のロボダン。 講師が説明する。 「今日は模擬現場テストです。ロボダンと連携しながら、人や車を安全に誘導してください。」 初めての屋外テストに、美咲の心は少し緊張していた。 設定は「工事現場入口」。 ロボダンが入口脇に立ち、来場者へ音声案内をする。美咲はその横で、旗を使って車両を誘導する役目だ。 ... -
講習での苦戦と仲間との出会い
女性警備技術士 美咲の挑戦(第2話) 講習2日目の朝。 美咲は、少し重たい工具箱を抱えながら教室のドアを開けた。 部屋の中央には、昨日バラバラに分解されたロボダンの部品が整然と並べられている。 「今日は音声モジュールの組み込みとプログラム入力をやります」 講師の声が響くと、受講生たちは一斉にパーツを手に取った。 美咲は早速作業を始めたが、音声が出ない。 配線は合っているはずなのに、ロボダンは沈黙したまま。 「……また失敗か」 肩を落とす美咲の横で、隣の席の青年が声をかけた。 ... -
リスキリング
教育内容 座学 警備業法、雑踏警備業務検定試験の合格基準 雑踏警備の概要、雑踏事故の防止方法 指揮命令系統、警備員としての心得 応急処置、AEDの使用方法 ・実技 歩行者や車両の誘導 騒乱の収拾 不審者への対応 事件・事故の発生時の対応 座学では、警備業法や雑踏警備業務検定試験の合格基準を学び、雑踏警備の概要や雑踏事故の防止方法を理解します。また、指揮命令系統や警備員としての心得、応急処置やAEDの使用方法についても学びます。 実技では、歩行者や車両の誘導、騒乱の収拾、不審者への対応、事件...